ヘンリー・キッシンジャー - 男の肖像

男の肖像身体美学講座 Fhysical Aesthetics

ヘンリー・キッシンジャー

若い頃笑顔 近影

2014年4月1日

国家安全保障問題担当大統領補佐官。
氏が歴史の表舞台に登場した時の肩書きだ。
脇役的な響きを感じるが、氏は違った。

実質的には外交や国家戦略の主導的役割を担った。
米史上最強の大統領補佐官かも知れない。
抜擢したニクソン大統領は、才能に期待していた。
そして期待通りの能力を発揮する。

フォード政権に変わると、国務長官に就任。
肩書きは変わるが再び外交、国家戦略を担う。
国家戦略の中枢が本来の国務省に戻ったことになる。

知力行動力とも抜群で、人脈や情報網駆使し世界をかけまわる。
どこにいるのか、どこに表れるのか誰も追えないほどに。
その神出鬼没さから、日本では忍者外交と評された。

当時最大の懸案だったベトナム戦争終結にも奔走。
その道筋をつけた功績を買われ、ノーベル平和賞も受賞する。
二人の大統領に仕えた間、大統領顔負けの存在感発揮した。

氏と対峙した対外国の当事者にとっては最強の交渉相手。
二度と交渉したくないと感じたと想像される。
味方になれば当然頼もしい。
世界の要人との豊富な人脈を持つと言われる。
ただ日本人の名前はあまり聞こえてこない。

退任後も名声はとどまることがなかった。
講演料のギャラも破格で、世界一と言われた。
通説では食事会に出るだけでサラリーマンの年収並。
氏に並びえたのは故サッチャー元英首相だけとも。

つまり大統領経験者よりも存在感、影響力がある。
事実退任後も長く米政界に、隠然たる影響与え続けた。
一方近年の元大統領たちは、おしなべて存在感薄い。
回顧録書いても氏の回顧録には遠く及ばない。

今世紀になって米国はアフガンとイラクに侵攻した。
時のブッシュ大統領は、氏を相談役として頼っていた。
すでに高齢であっても、氏の知見に勝る者はないと。

アジアについては日本より中国に親近感抱いているようだ。
中国に対する論評の方が好意的と感じさせることが多い。
親中家ではあっても、親日家とは考えにくい。
最初に上げた大きな外交成果が米中和解だったからか。

北京五輪では開会式の会場に氏の姿があった。
招待されたのか、自発的なのかは分からない。
(マスコミは知らないのか、まったく報道していない。)
すでに高齢なだけに、中国への強い思い入れを感じさせる。

突出した才能を持つ者は、天才と言われる。
氏は外交が仕事の柱だったため外交の天才といわれた。
では具体的にどんな功績を社会に残したのか。

現代の天才といえば、スティーブ・ジョブズが名高い。
生活や産業を激変させる商品を生み出している。
ところが氏の功績を並べるのは難しい。
見方次第ではほとんどないかも知れない。

政治外交という分野の難しさでもある。
立場が違えば評価も違ってくる。
ベトナム和平も見方次第でかなり微妙。

アフガン、イラク侵攻も支持していた。
だがどちらもいまだ混迷が続き、何も解決していない。
米国の国益を追求しただけという見方もできる。
人類社会に貢献したかどうかの評価は不可能に近い。

では結局凡人とそれほど違わないのだろうか。
どう考えても凡人に同じことはできない。
しかし天才といえどもすべてを見通すことなどできない。
氏も間違い多い人間の一人だということだろう。
過小評価も過大評価も妥当でない。