高倉健 - 男の肖像

男の肖像身体美学講座 Fhysical Aesthetics

高倉健

若い頃正面 初老の正面

2013年1月1日

銀幕の中だけで生きている最後の映画スター。
すでに伝説化しているといって過言でない。
映画が斜陽化した今もステータス維持している希有な存在。

大スターらしく当たり役、はまり役が少なくない。
だが役柄は違っても、タイプ的には一貫性がある。
寡黙だが、誠実で行動力のある男の中の男。
同性が憧れる本物のスターの要素を見事に満たしている。

だが大スターはそれ故に、人格を維持するのが難しくなる。
イメージが膨らむほど重圧を受ける。
世界的スターとなった三船敏郎は、その苦痛を吐露していた。
「買いかぶりも甚だしい」と。
晩年の三船はやっと持ちこたえていた印象がある。
石原裕次郎は酒に溺れて、晩年まで身が持たなかった。
そういう例は内外に少なくない。

だが彼はまったく危うさを感じさせない。
私生活も謎めいている。
映画の中のイメージのままと想像させる。
映画と現実が重なっているかのように。

彼に関わった人々の評判もイメージ通りである。
大スターなのに、誠実で謙虚で人格者の評価が高い。
そのイメージがますます盤石なっているように感じる。
晩節を汚すことなく、伝説の中に生きている。

彼が健全であることは身体にも表れている。
高齢になった今もほとんど立ち姿が崩れていない。
生活と美意識が窺い知れる。

ここまできたらイメージを貫いてほしい。
最後まで高倉健であってほしい。
だとすればそろそろ幕引きが迫ってきている。